山田昌弘『希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を引き裂く』筑摩書房,2005

希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を引き裂く
かつて「パラサイト・シングル」という言葉を生み出した著者が、様々なデータを基に描く現代社会論。

現在の日本は職業、家庭、教育のすべてが不安定になり2極化し、「勝ち組」「負け組」の格差が拡大している。「努力は報われない」と感じた人々からは希望が消滅し、日本は将来に希望が持てる人と絶望する人に分裂する「希望格差社会」に突入しつつある。

著者は日本社会で希望がなくなり始めたのは、実質GDP国内総生産)成長率がマイナス1%となった1998年からと見る。この年、自殺者数は急増し、離婚、児童虐待、青少年の凶悪犯罪の増加傾向にも拍車がかかった。希望の喪失は社会の不安定要因となりかねず、早めに総合的な対策を講じることが必要と主張している。