引き続き国家の罠

を読んでます。よくできた小説のごとき面白さ。まさに事実は小説より奇なり。

以下、気になった部分を引用。

ロシア、イスラエル、日本で、私はいろいろな政治家や高級官僚と付き合ってきた。その中で鈴木宗男氏にはひとつの特徴があった。恐らく政治家としては欠陥なのだと思う。しかし、その欠陥が私には魅力だった。
それは鈴木氏が他人に対する恨みつらみの話をほとんどしないことだ。はじめは私の前でそのような感情を隠しているのだと考えていた。しかし、二人の付き合いがいくら深くなってもその類の話がない。―――政界が「男のやきもち」の世界であることを私はロシアでも日本でも嫌というほど見てきたが、鈴木氏には嫉妬心が希薄だ。―――裏返して言えば、このことは他人がもつ嫉妬心に鈴木氏が鈍感であるということだ。この性格が他の政治家や官僚がもつ嫉妬心や恨みつらみの累積を鈴木氏が感知できなかった最大の理由だと私は考えている。

メディアでは色々言われてるけど、この佐藤氏の文章はムネオをよく表している言葉なんじゃないだろうか。結局、ムネオってのはある意味でただの「バカ」だったんだと思った。「バカ」ゆえの純粋さがあったから、恨みつらみのない、ある意味"無垢"なムネオ像もありえたんだろうし、一方で「バカ」だからこそ、自分の沽券に関わるような事態に直面すれば、愚直に敵を攻撃し、それが結果として周囲に「恫喝」と受け取られることになったんじゃないだろうか。

佐藤氏は結局ムネオと懇意にしていたから、一緒に葬り去られることになったのだろうけど、ムネオに魅力を感じた、という言葉は、なんだか気持ちが分かるような気がするのである。