『華氏911』

このタイトルで思い出すのは『華氏451』という映画。因みに華氏451度は摂氏にすると250度で、紙が自然発火する温度らしいのだが、911度は何かの融点なのか?あるいはただ9・11を意味しているだけなのか?そんなことを考えながら鑑賞する。(鑑賞後に思ったが、『華氏451』の焚書による無知を基礎とした支配、というのと、『華氏911』で出てきた「貧困と無知」を基礎とする支配、というのはリンクしているかもしれない)

中身は全編ドキュメンタリーで、大統領批判のための"プロパガンダ"映画と言っても過言ではない。「悪いのは全部ブッシュ(をはじめとした政府上層部)」という短絡思考はスポーツ紙並に単純な着想だと思ったが、この映画がある特定の観点から映し続ける"アメリカ"もまた、事実であることには変わりはない。同じ事実を基礎とするなら、ムーア監督が採用・編集したこれらの映像資料も、音楽や解説のつけ方次第で幾らでも意味・文脈が変わるということも言えるだろう。そも事実は解釈されて初めて事実足り得る、彼のブッシュ批判のスタンダードも首肯できる部分はあるが、この映画は参考程度に留め、自分なりの解釈基準を形成することの方が重要であると思った。

追記:華氏911「題名盗んだ」 ブラッドベリ氏が批判というニュースがあったようで。まぁ細かいことは言いなさんな、って感じもするね。年寄りは自然と頭が固くなるのでしょうか。